日本未上陸!大注目のファスト・ファッション-PRIMARK(プライマーク)
イギリス ロンドンのオックスフォード・ストリートは、ZARA、H&M、UNIQLO、TOPSHOP、next、GAPなど、世界的にも有名なファスト・ファッションが並び、ちょっとした聖地となっています。そのような激戦区において、行き交う人々がみな同じ紙袋を持っている光景を目にします。それは、日本未上陸の大注目のブランド『PRIMARK(プライマーク)』です。
プライマークとは?
1969年、アイルランドの首都ダブリンに、『PENNEYS(ペニーズ)』というブランド名で第1号店がオープンしました。1973年には、イギリス初の店舗が中部の工業都市ダービーにオープンし、今では国内161店舗にのぼります。 その後ヨーロッパにも展開し、2015年には、アメリカ初の店舗をボストンにオープン。欧州・米国の11カ国で350店を超える規模にまで成長しました。
プライマークの特徴
圧倒的な安さ
ファスト・ファッションは、トレンドを押さえつつプチプラなのが売りですが、プライマークは他ブランドと比べて半額以下の圧倒的な安さを誇ります。特にロンドンは物価が高いので、地元の人からの人気は絶大です。まさに、日本でいうユニクロのような存在かもしれませんね。
品質と値段を両立できる秘密は、徹底した企業努力にあります。有名人を使用した宣伝を行なわず、広告費用を極力抑えたり、ハンガーやプライス・タグなどもリサイクルをして経費削減をしたり、自社工場を持たない代わりに厳選した工場に生産を委託するなどして、低価格を実現しています。
商品の豊富さ
ベビー、キッズ、ウィメンズ、メンズ、ホームウェア、アクセサリー、ビューティーグッズ、靴など、あらゆるものが揃います。また、ハリーポッターやディズニーとのコラボ商品もあり、ファンにはたまりません。エコバッグなどはお土産にもおすすめです。店内はまるで宝探しをしているようで、一つ一つの商品が超低価格であることから、買うつもりがなかったものまで思わず大量買いをしてしまいます。
ちなみに、プライマークの愛用者は『PRIMANIA(プライマニア)』とも呼ばれ、コーディネートをSNSにアップすることがブームとなっています。
社会的責任を意識した企業姿勢
最新の流行を取り入れながらも低価格で購入できるファスト・ファッションは、私たち消費者にとっても身近な存在として定着しました。しかしながら、途上国を中心とする生産現場においては、低賃金かつ劣悪な環境で労働を強いられるケースが発生し、大きな社会問題となっています。
プライマークでは、賃金の適正な支払い、従業員の労働環境、安全・健康への配慮などの基準において、独自の行動規範を満たしている工場のみと契約を結び、人権に配慮した生産を徹底しています。その後も、規範を遵守できているか定期的にサプライヤーをモニタリングし、人権侵害防止に取り組んでいます。
また、環境への配慮にも力を入れています。衣料品メーカーは、洗浄や染色の過程で大量の水を使用しています。そこで、水使用量や水質汚染につながるリスクのある化学物質を減らし、環境に負荷をかけない服作りを行なっています。
2013年から、インドでコットン栽培を支援するプログラムをスタートしました。インドは世界有数のコットン生産国ですが、多くのコットンが地方の小規模農家で栽培されており、正しい知識やノウハウもなく、支援も行き届いていないのが実態です。そこで、専門家を派遣し、良質なコットン栽培の方法、適切な取引の仕方などを教育しました。その結果、農家の収入が約2倍に増加するなど、生活水準の向上だけでなく、質の高いコットンの収穫にもつながっています。
日本進出は近い?
2018年9月期の売上高は、74億8000万ポンド(約1兆1000億円)に達し、順調に業績が拡大しています。また、2018年『アメリカで最も成長著しい小売企業トップ100』ランキングにおいても、堂々のNo .1に輝きました。皮肉なことに、米国衣料品チェーン大手のギャップは、経営不振を理由に不採算店舗を大量閉鎖すると発表しました。
アマゾンの台頭など北米小売業界の競争が激しさを増す中でのランキングトップは、今後ますますの成長を期待してしまいます。利益を追求するだけではなく、持続可能な社会の実現に責任を果たしていこうとする真摯な企業姿勢は、現代の消費者からの支持を多く集めているのかもしれません。米国展開が軌道に乗ったあとには、アジア1号店として日本進出も願いたいですね。